犬との暮らしに憧れを抱き、「犬を飼うか迷ってる」と考えている方は多いのではないでしょうか。フワフワの毛並み、愛らしい瞳、無邪気に駆け寄ってくる姿を想像すると、心が温かくなります。
しかし、その一方で「本当にお世話できるだろうか」「もし犬を飼うんじゃなかったと後悔したらどうしよう」という不安もよぎるものです。
この記事では、犬を飼う自信がないと感じている方や、初めて犬を飼う共働きのご家庭、ご自身の状況で犬を飼う覚悟が持てるか知りたい方に向けて、客観的な情報をお届けします。
犬を飼うことで精神安定につながる素晴らしい側面もあれば、犬を飼うとできなくなることや、知っておくべき現実も存在します。
犬を飼うのに向いてる人とはどんな人か、あるいは犬を飼ってはいけない人の特徴は何か。
簡単な犬を飼うのに向いてる人診断のヒントを参考にしつつ、一番なつきやすい犬はどんな犬種なのかも含め、あなたが後悔のない選択をするためのお手伝いをします。
- 犬を飼うことで直面するリアルな現実と必要な覚悟
- ご自身が犬を飼うのに向いているかを見極める判断基準
- 犬との生活で得られるかけがえのない喜びと具体的な注意点
- ライフスタイルに合った後悔しないための犬種の選び方
犬を飼うか迷ってる人が知るべき現実
- 「犬飼うんじゃなかった」という後悔の声
- 犬を飼うとできなくなることリスト
- あなたは大丈夫?犬を飼ってはいけない人
- 犬を飼う自信がない原因と向き合い方
- これが犬を飼う覚悟 : 命を預かる責任
「犬を飼うんじゃなかった」という後悔の声

犬を飼い始めると、想像以上の現実に直面し、「こんなはずじゃなかった」と感じてしまう飼い主さんがいるのも事実です。
実際に犬を迎えた先輩飼い主たちがどのような点で苦労を感じているのかを知ることは、あなたの迷いを解消する第一歩になります。
アンケート調査によると、多くの飼い主が最初にぶつかる壁は「しつけ」の問題です。
特にトイレのしつけは根気が必要で、なかなか覚えてくれないことにストレスを感じるケースは少なくありません。甘噛みや家具へのいたずら、無駄吠えなども、子犬期によく見られる悩みです。
これらの問題行動は、正しい知識とトレーニングで改善されることが多いですが、時間と労力がかかることを理解しておく必要があります。
また、予期せぬ病気やケガも大きな負担となり得ます。ペットには人間のような公的な健康保険制度がないため、医療費は全額自己負担となるのが基本です。
突然の高額な出費に驚き、経済的な困難から後悔につながることも考えられます。
これらの「後悔の声」は、決して犬を飼うことを否定するものではありません。むしろ、犬との生活が楽しいことばかりではないという現実を事前に知ることで、より強い覚悟を持って犬と向き合う準備ができるのです。
犬を飼うとできなくなることリスト

犬を家族に迎えるということは、自分のライフスタイルを犬に合わせて大きく変えることを意味します。
これまで当たり前にできていたことが、できなくなるかもしれません。具体的にどのような制約が生まれるのか、代表的なものを以下に挙げます。
カテゴリ | 具体的な制約の内容 |
お金 | ドッグフードやペットシーツなどの消耗品、ワクチンや予防薬、病気やケガの治療費、トリミング代など、継続的な出費が発生し、自由に使えるお金は確実に減ります。特に、夏や冬のエアコン代は節約が難しくなります。 |
時間 | 毎日の散歩、食事の準備、トイレの世話、遊び相手になるなど、犬のために多くの時間を割く必要があります。仕事で疲れて帰ってきても、散歩を休むことはできません。自分の趣味に没頭する時間や、友人と夜遅くまで出かける時間は減るでしょう。 |
行動 | 長時間の外出や、泊まりがけの旅行には大きな制約がかかります。犬だけで留守番させることは難しく、ペットホテルやペットシッターの利用を検討する必要がありますが、費用がかかる上に、環境の変化が犬のストレスになる可能性も考慮しなくてはいけません。 |
住環境 | 犬連れで入れるお店は限られています。お気に入りのカフェやレストラン、多くの商業施設には一緒に入れないため、外出先が制限されることを覚悟する必要があります。 |
生活リズム | 朝は決まった時間に起きて散歩や食事の準備をする必要があります。休日だからといって、朝寝坊や二度寝をすることは難しくなるでしょう。生活の全てが犬中心のリズムに変わっていきます。 |
これらの制約は、見方を変えれば「規則正しい生活になる」「愛犬と一緒に行ける新しい場所を発見できる」といったメリットにもなり得ます。
しかし、まずは自由が減るという現実をしっかりと受け止めることが大切です。
あなたは大丈夫?犬を飼ってはいけない人

犬を飼うことは、すべての人に推奨されるわけではありません。
愛情だけでは乗り越えられない現実的な問題があり、特定の状況にある人が犬を飼うと、人も犬も不幸になってしまう可能性があります。ご自身が以下の項目に当てはまらないか、冷静に確認してみてください。
経済的な余裕がない
犬の飼育には、初期費用だけでなく生涯にわたる費用がかかります。毎月の食費や消耗品費に加え、年間で数万円にのぼるワクチンや予防薬、そして万が一の病気やケガの際には数十万円単位の医療費がかかることもあります。
これらの費用を安定して支出し続けられる経済的な基盤がない場合、飼育は困難です。
時間的な余裕がない
仕事やプライベートが多忙で、犬の世話に十分な時間を割けない人も飼育には向きません。犬は毎日の散歩や食事、コミュニケーションを必要とする生き物です。
長時間留守番させることが常態化してしまう環境は、犬にとって大きなストレスとなり、問題行動の原因にもなりかねません。
家族の同意や協力が得られない
同居する家族の中に、犬を飼うことに反対している人や、動物アレルギーを持つ人がいる場合は、飼育を始めるべきではありません。
犬の世話は一人で抱え込めるものではなく、家族全員の理解と協力が不可欠です。
住居がペット飼育を許可していない
当然のことながら、ペットの飼育が禁止されている集合住宅では犬を飼うことはできません。ルールを破って飼育することは、近隣トラブルの原因となり、最悪の場合、退去を求められる事態にもつながります。
これらの点に一つでも当てはまる場合は、今は犬を飼うタイミングではないのかもしれません。
犬を飼う自信がない原因と向き合い方

「犬を飼いたいけれど、ちゃんとお世話できる自信がない」と感じるのは、命を預かることの重さを理解している証拠であり、むしろ誠実な悩みと言えます。
その不安の正体は何なのか、一つひとつ解き明かしていくことが大切です。
多くの人が不安に感じるのは、「しつけがうまくできるか」「病気やケガをしたときに正しく対応できるか」といった点です。
これらは、経験がない初心者であれば誰もが抱く自然な感情でしょう。トイレトレーニングがうまくいかなかったらどうしよう、無駄吠えで近所に迷惑をかけたらどうしよう、という心配は尽きません。
このような不安と向き合うためには、まず「完璧な飼い主はいない」ということを理解することです。先輩飼い主たちも、最初は皆初心者でした。失敗を繰り返しながら、愛犬との関係を築いてきたのです。
具体的な対処法としては、まず正しい知識を身につけることが挙げられます。
書籍や信頼できるウェブサイトで犬の習性やしつけの方法、健康管理について学ぶことで、漠然とした不安は具体的な対策へと変わります。
また、お迎えする前にブリーダーやペットショップのスタッフ、動物病院の獣医師などに相談し、不安な点を解消しておくのも良い方法です。
一人で抱え込まず、専門家の知見を借りることで、自信のなさは軽減されていくはずです。
これが犬を飼う覚悟 : 命を預かる責任

犬を飼うという決断は、単にペットを増やすことではありません。一つの命をその生涯にわたって預かり、最後まで面倒を見るという、非常に重い責任を伴う「覚悟」が求められます。
終生飼育の責任
犬の寿命は10年から15年、長い場合は20年近く生きる子もいます。その長い年月、自分の生活環境がどのように変化しようとも、犬を家族の一員として愛し、育て続ける「終生飼育」が絶対の原則です。
転勤や引っ越し、結婚や出産といったライフステージの変化を理由に、飼育を放棄することは許されません。将来を見据え、20年後の自分を想像した上で、犬と共にあり続けられるかを真剣に考える必要があります。
命を看取る責任
犬も年をとれば、人間と同じように介護が必要になることがあります。食事や排泄の介助、寝たきりのケアなど、シニア犬の介護は飼い主にとって大きな身体的・精神的負担となる可能性があります。
そして、必ず訪れる最期の時。愛する家族との別れは計り知れない悲しみをもたらし、「ペットロス」に陥る人も少なくありません。
この避けられない別れを受け入れ、最期まで愛情を持って看取ってあげることも、飼い主としての最後の、そして最も重要な責任です。
「かわいいから」「癒されるから」といった安易な気持ちだけで飼い始めるのではなく、この重い責任を生涯背負う覚悟があるのかを、ご自身の心に問いかけてみてください。
犬を飼うか迷ってる人へ贈る判断ヒント
- 簡単な犬を飼うのに向いてる人診断
- 犬を飼うのに向いてる人の特徴
- 犬を飼うと精神安定?得られるメリット
- 初めて犬を飼う共働き家庭のポイント
- 一番なつきやすい犬種は?初心者向け犬種
簡単な犬を飼うのに向いてる人診断

ご自身が犬を飼うのに向いているかどうか、簡単なチェックリストで診断してみましょう。以下の質問に「はい」と答えられる項目が多いほど、犬を迎える準備が整っている可能性が高いと言えます。
- 犬の一生(10年~15年)に責任を持つ覚悟があるか?
- 家族全員が犬を飼うことに賛成し、協力体制があるか?
- 犬の習性やしつけについて、学ぶ意欲があるか?
- 毎日の散歩や世話に、時間と手間を割くことができるか?
- ペット飼育が可能な住居に住んでいるか?
- 犬にかかる生涯費用を理解し、支払う経済力があるか?
- 犬中心の生活になることを受け入れられるか?
- 万が一の時、愛犬を預かってくれる人や場所のあてがあるか?
- 犬の老いや介護、そして最期の別れと向き合う覚悟があるか?
もし「いいえ」と答えた項目があったとしても、すぐに諦める必要はありません。何が課題なのかを明確にし、その課題をクリアする方法を考えるきっかけにしてください。
犬を飼うのに向いてる人の特徴

前述の診断チェックを踏まえ、犬を飼うのに向いている人の特徴をより具体的に見ていきましょう。
まず、精神的に安定していて、忍耐強い人が挙げられます。犬は人間の言葉を話せませんし、すぐには言うことを聞いてくれないことも多々あります。
トイレの失敗やいたずらに対し、感情的に怒鳴ったりせず、根気強く教え続けられる冷静さが必要です。
また、生活に時間的・経済的な余裕があることも大切な要素です。犬との豊かな生活は、これらの余裕の上に成り立ちます。
日々のコミュニケーションを楽しみ、愛犬の健康のためにお金をかけることを厭わない姿勢が求められます。
さらに、フットワークが軽く、社交的な人も向いていると考えられます。
毎日の散歩やドッグラン、動物病院などで他の飼い主さんと交流する機会が増えるため、人とのコミュニケーションを楽しめる人の方が、より豊かなドッグライフを送れるでしょう。
最も大切なのは、犬を「自分の都合の良いおもちゃ」ではなく、「感情を持った家族の一員」として尊重できることです。
犬の気持ちを理解しようと努め、愛情を持って接することができる人こそ、最高の飼い主になれる資質を持っています。
犬を飼うと精神安定?得られるメリット

犬を飼うことには多くの責任や制約が伴いますが、それを上回るほどの素晴らしいメリットが存在するのも事実です。
多くの飼い主が「人生が豊かになった」と語るように、犬は私たちの心と体に良い影響を与えてくれます。
心の癒しとストレス軽減
犬と触れ合うと、「オキシトシン」というホルモンが分泌されることが科学的に証明されています。これは「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」とも呼ばれ、ストレスを軽減し、幸福感を高める効果があります。
仕事で疲れて帰宅した時に、愛犬がしっぽを振って出迎えてくれるだけで、一日の疲れが吹き飛ぶという経験は、多くの飼い主が実感するところです。
一人暮らしの寂しさが紛れ、生活に張りが出るという声も少なくありません。
規則正しい生活と健康増進
犬を飼うと、食事や散歩の時間が決まるため、飼い主の生活も自然と規則正しくなります。特に毎日の散歩は、飼い主にとって適度な運動となり、運動不足の解消や生活習慣病の予防につながります。
早寝早起きが習慣づき、心身ともに健康的な毎日を送れるようになるでしょう。
新たなコミュニケーションの輪
散歩中やドッグカフェなどで、他の犬の飼い主さんと自然に会話が生まれる機会が増えます。
共通の話題があるため打ち解けやすく、「犬友だち」ができることで交友範囲が広がり、社会的なつながりが深まることも大きなメリットです。
初めて犬を飼う共働き家庭のポイント

「共働きで日中家を空ける時間が長いから」と、犬を飼うことを諦めている方もいるかもしれません。
しかし、いくつかのポイントを押さえ、しっかりと準備をすれば、共働き家庭でも犬と幸せに暮らすことは可能です。
最も重要なのは、お留守番の環境を整えることです。まず、犬が安全に過ごせるスペースを確保しましょう。家全体を自由に動き回れる状態は、誤飲や感電、いたずらなどの危険が伴います。
クレートやサークルを活用し、その中にトイレとベッド、安全なおもちゃを用意してあげるのが理想的です。また、夏場の熱中症や冬の寒さを防ぐため、エアコンを活用した室温管理は必須です。
最近では、飼い主の不安を解消してくれる便利なグッズやサービスも充実しています。スマートフォンで留守中の愛犬の様子を確認できる「見守りカメラ」は、多くの飼い主が利用しています。
カメラ越しに声をかけたり、おやつをあげたりできる高機能な製品もあります。
また、社会性を育むため、そして飼い主のリフレッシュのためにも、「犬の保育園(幼稚園)」や「ペットシッター」といった外部サービスを上手に活用するのも一つの方法です。
プロのドッグトレーナーに日中の世話やしつけを任せることで、飼い主の負担を軽減し、犬も他の犬と触れ合う楽しい時間を過ごせます。
一番なつきやすい犬種は?初心者向け犬種

犬種によって、性格の傾向やお手入れの手間、必要な運動量などが大きく異なります。
初めて犬を飼う方は、比較的穏やかでしつけがしやすく、お手入れに手間がかからない「飼いやすい」とされる犬種から選ぶのが安心です。
もちろん個体差はありますが、一般的に初心者向けと言われる代表的な犬種とその特徴を以下の表にまとめました。
犬種 | 人懐こさ | しつけやすさ | お手入れのしやすさ | 運動量の目安(散歩) |
トイ・プードル | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★☆☆☆(抜け毛は少ないが月1回のトリミングが必要) | ★★★☆☆(1日2回、各20~30分程度) |
チワワ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆(ブラッシングは必要だがトリミングは不要) | ★★★★★(1日2回、各15~20分程度) |
ミニチュア・ダックスフンド | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★★★☆(ブラッシングは必要だがトリミングは不要) | ★★☆☆☆(1日2回、各30分以上) |
キャバリア | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆(抜け毛が多く、日々のブラッシングが必須) | ★★★★☆(1日2回、各20分程度) |
シーズー | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆(抜け毛は少ないが日々のブラッシングと月1回のトリミングが必要) | ★★★★★(1日2回、各15分程度) |
犬種選びのポイント
トイ・プードルは全犬種の中でもトップクラスの賢さを持ち、非常にしつけやすいことで知られています。人懐っこく、抜け毛や体臭が少ない点も人気の理由です。
一方で、チワワは飼い主への愛情が非常に深く、運動量が少ないため室内での飼育に向いています。
キャバリアはとても穏やかで社交的な性格から、小さなお子さんがいるご家庭にもおすすめです。
このように、ご自身のライフスタイルや家族構成、住環境などを考慮し、「どんな犬と、どんな暮らしがしたいか」を具体的にイメージしながら、最適なパートナーを見つけることが大切です。
総括 : 犬を飼うか迷ってるあなたへ最後の確認
この記事を通して、犬を飼うことの光と影、両側面についてお伝えしてきました。犬を飼うか迷ってるあなたへ、最後に確認していただきたい大切なポイントをまとめます。
- 犬との暮らしは喜びも大きいが、それ以上に責任が重い
- 犬の一生、約15年間にわたり面倒を見る覚悟があるか
- 自分の時間を犬のために使うことができるか
- 毎日の散歩や世話を継続する体力と忍耐力があるか
- 生涯かかる費用を安定して支払い続ける経済力があるか
- 家族全員の同意と協力が得られているか
- ペット飼育可能な住環境が整っているか
- 犬のしつけや習性について学ぶ意欲があるか
- 後悔しないために、デメリットや制約を十分に理解したか
- 安易な気持ちではなく、命を預かるという自覚があるか
- 犬中心の生活になることを受け入れられるか
- 老犬の介護や最期の看取りまで見据えているか
- 困った時に相談できる獣医師や専門家を見つけているか
- 衝動的な決断ではなく、時間をかけて熟考したか
- 全ての覚悟を持った上で、犬を心から愛せると言えるか